建設業の「残業(時間外労働)の上限規制」

2019年4月に施行された改正労働基準法の「時間外労働の上限規制」
建設事業については、上限規制の適用が2024年3月まで猶予されています。
あと3年程度の猶予がありますが、早めに出来ることをして損はないので
今回は、建設業の「時間外労働の上限規制」についてご紹介します。

「時間外労働の上限」とは

臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、
以下を超えることはできません。

(改正労働基準法第36条5項)

・1年間の時間外労働は720時間以内
・時間外労働と法定休日労働の合計は1か月100時間未満

「2カ月平均」「3カ月平均」「4カ月平均」「5カ月平均」「6カ月平均」がすべて1月あたり80時間以内

36協定対象期間の時間外労働(休日労働を含まない)は、原則1か月45時間以内かつ年間360時間以内
1か月45時間というのは、1日当たり2時間程度の残業に相当

※36協定の特別条項を適用できるのは、1年間で6カ月が限度
※違反した場合の罰則(6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金)も定められています。

出典:厚生労働省 働き方改革 公式サイトより

法定割増賃金率が引き上げられることにも注意

残業時間の上限規制が注目されていますが、中小企業についても法定割増賃金率が引き上げられることにも注意が必要です。
現在大企業では、月60時間以内の時間外労働の割増賃金率は25%ですが、60時間を超えた分の割増賃金率は50%以上とすることになっています。
中小企業については2023年3月まで猶予されていますが、2024年4月以降は、この猶予が廃止されて、大企業と同じく月60時間を超える時間外労働について法定割増賃金率が50%以上となります。
賃金の負担も増えることになりますので注意が必要です。

今後、勤怠管理を徹底して、自社での残業時間を把握したうえで、業務の効率化やIT化を検討するなど、残業時間を減らす取り組みが重要になります。

さいごに

時間外労働時間の上限規制について、建設業は2024年4月から適用となり、期限が迫っています。
上限規制に違反した場合は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則が科される恐れもあるため、労働時間の管理方法を見直し、改善していくことが企業に求められます。
趣旨を理解したうえで適切な就業管理を進めていきましょう。

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